子育て 教育

【子どもの教育のために知りたい】AI時代に必要とされる人材とは

【インタビュー】大村 拡衣先生(株式会社granDeclic 代表取締役)

 

AIが活躍する時代になると、人が行う仕事が奪われると心配される声もありますよね。しかし、 AIが活躍する時代が来たときに、求められる人材とは、具体的にはどのような人材なのでしょうか。また、今後世の中で必要とされる人材になるには、どのようなスキルが求められるようになるのか、子どもの教育の専門家である【大村 拡衣先生(株式会社granDeclic 代表取締役)】にお話を伺いました。

 

 

子ども達の未来につながる「AI時代」とは

近年、人工知能を持ったAIが活躍しているのを多く見かけますよね。そしてこれからの未来、その活躍は目まぐるしいものとなり、AI時代が訪れようとしています。

現在、AI市場では、自動運転をはじめとする、さまざまなイノベーションが起きています。これからの未来では、そうした現在発展中の技術がはっきり目に見える形で、私たちや子どもたちの生活スタイルに影響を与えていくのではないでしょうか。

ただし、そんなAIを生みだすのは、人間の役目です。AIそのものが思考を持つわけではありません。AIが得意なのは、「判断」です。人間の発想によって、AIが活躍するための明確な指示を与える必要があります。

今後は、AIとのコミュニケーションを通じて新しい価値を紡ぎ出していくような、新しいスタイルが求められるようになるでしょう。

 

 

AI時代に活躍する人材とは

AIが人間並みの学習能力を得ると、単純作業が多い仕事や技術的な作業などはなくなっていくことが考えられます。ではその一方で、AIが活躍すればするほど需要のある人材とは、どのような人なのでしょうか?

 

AI時代に活躍する人材について、大村先生は次のような存在だとおっしゃっています。

 

大村拡衣 先生
超スマート社会となるSociety 5.0という未来では、人間と機械の関係性が重要となります。人間とはなにか、個人の能力とはなにかを、より問われる時代になることでしょう。

AI が代替することが難しい仕事として、複合的な知性や複雑な判断が要求される仕事、あるいは型にとらわれないような仕事はAIに代替されにくいと考えられます。専門的なコミュニケーションや交渉が求められる仕事も同様です。

AIが人間の感情や発言の裏側まで想定することができないので、そのような仕事は代替困難なのだろうといわれています。(例:医師、クリエーター、デザイナー、教員、美容関係など)

つまり、AI時代に活躍する人材とは、人とつながり、人のために新しい価値の創出できる人材だといえるのです。

 

こう語る大村先生は、AI時代に活躍する人材のポイントとして、次の3つの要素をあげていらっしゃいます、

  1. クリティカルシンキング力が高い
  2. デザイン思考で価値創造する力がある
  3. 人のために新しい価値を生み出したいという情熱を持っている

なぜ3つがポイントなのか、解説していきます。

 

①クリティカルシンキング力が高い

AI時代の中を生きていくためには、相手の求めていることを正しく読み解くスキルが欠かせません。課題や問題点がはっきりしない状況の中、AIを用いて多方面から分析し、解決策を導き出せる人材が求められているのです。

 

②デザイン思考で価値創造する力がある

新たなアイデアを生み出す人材は、一見無関係に思える物事を結びつけ、独創的なアイデアを生み出すスキルを持っているものです。このような思考を、『デザイン思考』といいます。

デザイン思考は、ただ新しいものを生み出すだけではありません。

アイデアを使う人が、共通して使いやすいものや、共感できるものを生み出すことも、デザイン思考なのです。これは、データを蓄積して、理論的に結論を導くAIにはできないことです。今後さらに、デザイン思考で新しい価値を生み出す人材は重宝されていくでしょう。

 

③人のために新しい価値を生み出したいという情熱を持っている

人のために新しい価値を生み出したいという情熱を持っているかどうかも、AI時代に必要とされる人材に欠かせないスキルです。

人の心を動かすのは、技術ではありません。情熱やストーリーなのです。AIとうまく共存しながら、新たな価値を創造していく人材こそ、AI時代を生き抜ける人材といえます。

 

こう語る大村先生のお話から、AI時代に必要なのは、クリエイティブな能力と熱意だということがよく伝わりました。さらに大村先生は、次のようなコメントもくださいました。

 

大村拡衣 先生
AIは、多くのデータを処理しながら、新たなアイデアを生み出す人を助ける役割を果たしていくと考えられます。つまり、AIそのものが、思考を持つわけではありません。

今後AI時代に求められていく人材は、AIと共存しながら、人のために新しい価値を生み出したいという情熱を持っている人といえるでしょう。

 

AIが活躍を見せるたびに、人間の仕事が失われるのではという焦りを感じてしまう方も多いのではないでしょうか。しかしこれからは、「AIと共存する」時代です。子どもたちが活躍する未来において、この「AIと共存する」というテーマを心がけることが、とても大切になってくるのではないでしょうか。

 

 

AI時代に活躍する人材になるために

AI時代で活躍する人材になるためには、具体的にどのような能力が必要なのでしょうか。

大村先生がおっしゃっているように、AI時代に求められる人材は、誰かのために新しい価値を生み出したいという情熱を持っている人かと思います。

 

誰かのためになにかをしたいと考えるためには、「こうすればユーザーが喜んでくれるかもしれない」という共感力が必要になることでしょう。そして、このように『お客様の気持ちを考えて適切に判断する』ためには、論理的な思考力が必要になるのです。

では、どのようにすれば、AI時代に活躍できる思考力が身につくのでしょうか。

 

AI時代に活躍する人材になるために、大村先生は「個人の内在の潜在能力を伸ばすこと」を重視して、学習すべきだと語ってくださいました。

 

大村拡衣 先生
まずは、お子さんの個性や強みを知ることが大切です。そのうえで、自らの問題を発見し、よく考えることで主体的に学ぶことができるでしょう。試行錯誤することが、お子さんの経験として身につくのです。

 

周りの人々の気持ちを思いやる共感力は、コミュニケーションの要ともいえます。幼いうちから、相手がどのようなことを考えているのか共感できるようになれば、AI時代が到来しても必要とされる人材になれるのではないでしょうか。

では次に、どのような勉強を行えば思考力が鍛えられるのか、大村先生のご意見を伺ってみましょう。

 

大村先生は、AI時代に向けた取り組みとして、STEAM教育に注目をされているといいます。

 

大村拡衣 先生
STEAM教育には、体験的な学び(プロジェクト・ベース学習)、問題解決学習(プロブレム・ベース学習)・創造的な学習(デザインベース学習)があります。

特定の分野を重点的に学ぶのではなく、これらを融合的に学ぶことで、学びを活性化する相乗効果があるのです。

 

STEAM教育は大村先生に限らず、教育界で多いに注目されています。また文部科学省でも、2020年の新学習指導要領から積極的に取り入れていることからも、STEAM教育に高い期待を持っていることが伺えます。

なかでも体験的な学びであるプロジェクト・ベース学習は、複雑な現実の問題に対する探究とその解決を中心に据えて集中して取り組むことを目的として、重要視されています。一方、プロブレム・ベース学習・デザインベース学習は、子どもたちが創造性を働かせることで、失敗を恐れず、解決に至る道が1つでないことを意識させるといいます。

 

こういった学習を効果的に取り入れるSTEAM教育が、AIと共存する人材を育むうえで必要だと考えられているのです。

 

 

AI時代には「自分の意思で動ける人材」が必要

子ども達の未来につながる「AI時代」を生きていく私達にとって、仕事を取って変わられるからどうしようと慌てるだけでは問題は解決しません。

今後は知識の量や学校の成績ではなく、人間としての本質的な能力が問われる時代になります。人間はより人間らしく心豊かになる業務を行い、なにも考えなくてもいい業務は人工知能が、というのが来るAI時代の姿と予想できるのではないでしょうか。

 

この時代で活躍するためにも我が子には、自分で考え、自分で動くことのできる人材を目指してもらいたいですね。

 

 

参考元

株式会社RECCOOen-courageAI時代は「知識」より「思考力」を身につけよ【細谷 功】

https://en-courage.com/articles/434

 

Adecco Group|Power of Work「AI時代のその先に待つ働き方の未来像とは【前編】」

https://www.adeccogroup.jp/power-of-work/044

 

北大路書房|リンダ・トープ,サラ・セージ ,伊藤通子,定村誠,吉田新一郎「PBL 学びの可能性をひらく授業づくり: 日常生活の問題から確かな学力を育成する」

 

小学館|みんなの教育技術「PBL(プロブレム・ベースド・ラーニング/プロジェクト・ベースド・ラーニング)【教育用語】」

https://kyoiku.sho.jp/52433/

 

  • この記事を書いた人

こども探究ラボ編集部

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