【インタビュー】青木 みのり先生(MBキッズカレッジ<世田谷用賀校・お台場ヴィーナスフォート校>校長)
あらゆる選択肢が多い現代では、子どもの教育にも悩んでしまいますよね。そのなかでも学習の基盤となる、「小学校選び」については、事前の準備も必要になるため家族でじっくり考える機会も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、小学校選びの必要性とともに、その違いや選び方について、受験対応の幼児教室を運営されている【青木 みのり先生(MBキッズカレッジ<世田谷用賀校・お台場ヴィーナスフォート校>校長)】にお話を伺いました。
目次
小学校選びが左右する?子どもに与える【3つの影響】
そもそも「小学校は近所でいい」、という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか? ただし小学校受験にも詳しい青木先生は、学校選びについて次のようにおっしゃっています。
学校を選ぶことで得られる【3つの影響】
- 個性を伸ばす・可能性を広げる
- 生涯の友達に出会いやすい
- オンライン授業の充実
青木先生が考える、学校を選ぶことで得られる3つの影響とはどのようなものか、それぞれ詳しく確認していきましょう。
1.個性を伸ばす・可能性を広げる
公立学校の場合、教育委員会が定めた方針を基本とした教育が行われるため、周りと足並みをそろえた学びができるといえます。一方、学校独自の教育方針とカリキュラムを持つ私立は、学校ごとにカラーがあるため、不変的な公立に比べると、より個性を伸ばしやすいと考えることができます。
また一貫校であれば、先生と長い期間関りがあるという点も、子どもの可能性を広げやすい環境といえます。さらに一貫して子どもの個性や可能性を見守るという意味では、公立と比べて私立は先生の異動がないという点でもメリットがあるでしょう。
2.生涯の友達に出会いやすい
学校の友達は、長い時間ともにすることから、親密になりやすいといえます。そして、生活環境や興味関心、価値感が近い友人というのは、さらに親しくなりやすいと考えられます。
この点で生活環境や価値観の傾向が近い家庭が集まりやすい私立学校の方が、親子ともに居心地がよい場合もあるのではないでしょうか。
3.オンライン授業の充実
コロナ禍でもその需要が明らかになった、「オンライン授業」。公立と私立では、このコロナ禍での対応について、格差があったといいます。私立のなかでは、早いところだと3月初旬からオンライン授業をしていたスタートしていた学校もあるのだとか。
また近年では、コロナ対策に関係なく、タブレットやパソコンといったICT(情報通信技術)を導入した教育体制が進んでいます。特に私立学校では公立と比べてICT教育カリキュラムを強化している学校も多いことから、先生・生徒ともに日頃からタブレットを使用した授業に慣れていたこともあり、休校中のオンライン授業もスムーズに進めることができたそうです。
この点からも、学校ごとに差があるICT環境の整備について、十分に確認することをおすすめします。
長い時間を過ごす学校は、ただ勉強をするだけではなく、友達と交流したり、勉強以外の活動をしたりと、あらゆる経験が待っている場所です。だからこそ、未来につながる個性や可能性、友人関係といった点まで考えて、学校を選ぶことは大切なのではないでしょうか。
さらに現代における情勢を考えても、子どもが学びやすい、過ごしやすい環境を考えることは必要なのですね。
【公立・国立・私立】学びの違い
子どもの成長や学びやすさ、未来と、あらゆる観点で見て小学校選びは重要であることがわかりましたね。では実際に「小学校を選ぶ」うえで選択肢となる、学校の種類を確認してみましょう。
小学校には、大きくわけて【公立・国立・私立】という選択肢があります。それぞれの特徴を比べてみましょう。
学費(年間)※ | 特徴 | |
公立 | 0円 | ・徒歩圏内で通うことができる(指定学区の場合) ・授業料にがかからない分、学校外の教育に費用をかけられる |
国立 | 10~30万円 | ・教育を研究する大学の傘下にあるため、教育実験校として最先端の授業をいち早く経験できる ・公立よりも広い範囲ではあるものの、通学範囲が限定されている学校もある ・系列の中学、高校があっても内部進学が保証されているわけではない |
私立 | 100~200万円 | ・学校ごとに個性やカラーが豊か ・子どもがわかりやすい独自のカリキュラムを導入している学校も多い ・英語や算数、国語など教科別により詳しい専任の教師が授業をしている学校もある |
※上記は、学費の目安です。これとは別に、給食費や遠足費などの諸経費がかかる場合もあります。
またこういった違い以外にも、青木先生は【公立・国立・私立】のそれぞれの傾向から、子どもに向いている学校を選ぶことを推奨されています。
【公立】
【国立】
【私立】
例えば、芸術系に興味がある子の場合、音楽や図工を1年生から専科の先生が教えてくれる学校を選べば、自由にのびのびと才能を伸ばすことができるかもしれませんね。次にこだわりや独自の感性を持っている子の場合、例えば「あなたはあなたのままでいい」と認めてくれる宗教のある学校を選ぶことで、 心の安定につながるのではないかと思います。
公立・国立・私立には、それぞれにカラーがあります。そのカラーをしっかりと見極めることで、子どもの性格に合った学校を選ぶことができるのではないでしょうか。
子どもに合う小学校の見極め方
子どもの性格をしっかりと見極め、学校を選ぶことで、子どもにとって過ごしやすく、学びやすい環境が整うといいます。では、公立だけでなく、国立や私立も選択肢に入れる場合、どのようなポイントで子どもとの相性を見極めるべきなのでしょうか。
青木先生に、子どもの小学校を選ぶうえで重要だと思うポイントを、2つ教えていただきました。
①試験の傾向でどのような子を求めているのかわかる
②幼児教室の先生に相談しよう!
いざ、国立や私立を考えたとしても、数ある学校のなかから、子どもに合った学校を選ぶというのはなかなか難しいものですよね。そんなときは、小学校受験のプロフェッショナルである幼児教室の先生からの第三者意見も大切になるのではないでしょうか。
「有名校だから」といった理由ではなく、子どもの性格に合った、学びやすい環境を見つけられるといいですね。
【小学校選びのスタート】まずは子どもに合った小学校を考えることから
小学校は、学習の基盤を作る大事な場所です。ここで勉強が苦手になったり、学校が嫌いになったりしたら、その先の進路にも影響が及ぶと予想できます。だからこそ、学校選びには慎重になりたいところ。
「小学校受験をする」、という大きな目標で決め込むのではなく、「子どもに合った学校を選びたい」という気持ちから、気になる国立や私立学校の特徴をまずは調べてみることからはじめてもいいのではないかと感じました。
もちろん家庭の事情で公立しか選択できないこともあると思いますが、もし他の選択肢の方が子どもの性格や個性に合っていると思うのであれば、家族で十分に検討してみてはいかがでしょうか。
参考元
東洋経済新報社|東洋経済オンライン「お受験で人気の国立大附属、内部進学には厳しい現実《本当に強い中高一貫校》」
https://toyokeizai.net/articles/-/10543
株式会社 日経BP|日経DUAL「小学校受験 国立と私立の違い・見学ポイント・学費」
https://dual.nikkei.com/article/058/04/
株式会社インターエデュ・ドットコム|エデュナビ「第2回 公立・私立・国立小学校の特徴と選び方」
https://www.inter-edu.com/article/hajimete-shoju/hajimete-shoju_150406_02/